関内地区の馬車道を南側へ進んでいくと「吉田橋」に行き着く。今は高速道路の切通しに架かる橋だが、昭和46年(1971)まではここに「派大岡川」という運河が流れており、ここより海側の地域「関内」と陸側の地域「関外」とを隔てていた。この橋を関外側へ渡った先に広がる街が「伊勢佐木町」である。一帯は明治7年(1874)頃から整備が始まった地域。その特徴的な地名の由来は、街を整備する際に道路の工事費用を捻出した伊勢屋治兵衛、佐川儀右衛門、佐々木新五郎の3名の名から採られたとされている。近隣の横浜公園付近に存在した「湊崎遊郭」が当地付近に移転されたこと、加えて政府からの興行場としての指定、街の整備も相まって町内に商店が集まったことで、当時の横浜を代表する繁華街・商店街へと発展を遂げた。関東大震災を経て昭和初期に入ると、アールデコ様式の外観で整えられた鉄筋コンクリート造建築が再建され、デパートや商店、ビアホールが建ち並ぶ通りを”モボ”・モガ”たちが練り歩く、昭和モダンな景色が姿を現した。今では当時よりも落ち着いた街になっているが、今昔の写真を見比べてみると、太平洋戦争を乗り越えて現存する建物や、建て替えを経て今でも営業しているお店など、かつての面影をいくつも見つけることができる。

・地域

　横浜市中区伊勢佐木町周辺

・最寄り駅

　JR根岸線・横浜市営地下鉄ブルーライン　関内駅

　横浜市営地下鉄　伊勢佐木長者町駅、阪東橋駅