明治・大正期の伊勢佐木町で、
新しい買い物文化を切り拓いた「越前屋」。
その店頭には、衣類から雑貨まで、
さまざまな商品が並んでいました。
大正5年(1916)頃
令和8年(2026)
越前屋・新館
越前屋は、明治16年(1883)に開業した呉服店です。
開業当初は土蔵造りの店舗でしたが、明治42年(1909)に遠藤於兎の設計による鉄筋コンクリート造の新館を増築。それに伴い、販売商品も洋服や雑貨などへと拡大し、販売方法も従来の「座売り方式」から現代と同じ「陳列販売方式」へ転換。和服を専門に扱う呉服店から、幅広い商品を扱うデパートへと発展していきました。 価格均一売り場を設けるなど、革新的な営業方法も打ち出しています。屋上には庭園も設けられており、まさに元祖“デパートの屋上”ともいえる場所でした。
明治42年(1909)竣工の店舗は、大正12年(1923)に発生した関東大震災で損壊。その後、解体されて現存しません。一方、昭和6年(1931)に再建された店舗は、紆余曲折を経て、現在も場外馬券場「エクセル伊勢佐木」として現存しています。平成16年(2004)には横浜市認定歴史的建造物に認定されました。
府県道鎌倉三崎線竣工記念品
大正9年(1920)頃 横濱今昔写真蔵
「府県道鎌倉三崎線」の完成を記念して越前屋で販売されたシガレットケースです。
府県道鎌倉三崎線は、現在の国道134号のうち、鎌倉から三崎港までの区間のことで、大正9年(1920)の竣工です。
販売時期を考えると、まさに古写真に写っている越前屋の店舗内で販売されたことになります。
蓋裏
シガレットケースの絵柄
ケースの蓋裏には、越前屋が製造したことを示す文言があります。
シガレットケースには、江戸時代の旅人の様子が描かれています。
越前屋製 布
大正初期(1912~)頃 横濱今昔写真蔵
越前屋で販売されていた布です。風呂敷、もしくは敷布として使用されたものと思われます。
布の四隅には、かなり薄くなっているものの「横濱」「越前屋呉服店」などの文言が確認できます。