V3162 横濱今昔写真蔵
弁天橋は、現在の桜木町駅新南口前に架かる橋。明治4年(1871)に初めて架橋され、翌年明治5年(1872)に新橋~横浜間の鉄道開通に伴って初代横浜駅(現 桜木町駅)が開業してからは、駅前と関内地区の幹線道路である本町通りとを結ぶ主要な交通路として多くの人に利用された。みなとみらいや横浜駅西口などがまだ存在しなかった時代、当時の中心市街地である関内に繋がるこの弁天橋こそが横浜の玄関口であった。
橋に設けられているゲートは、横浜港に帰港した皇太子裕仁親王(後の昭和天皇)を迎えるために設置された凱旋門である。大正10年(1921)3月3日、裕仁親王は、時の総理大臣原敬に見送られながら皇族史上初となるヨーロッパ歴訪の旅に出た。スコットランド、フランス、ベルギーなどを周り、9月3日に横浜港に帰港。この古写真はその際に撮影された。無事に旅を終えることができた裕仁親王であったが、この2か月後に東京駅において原敬が暗殺され、同じ時期に病弱であった大正天皇の容体が悪化。苦しい情勢の中で天皇の権能を代行する摂政に就任され、そのまま大正天皇が崩御すると第124代天皇に即位。激動の昭和時代の舵取りを担っていくことになる。
被写体:弁天橋
参考文献:ウィキペディア
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