V1032 横濱今昔写真蔵
横浜市開港記念会館前より本町2丁目方向を望む。こちらの写真から約13年後に撮影されている。右側にサムライ商会と椎野絹織物商店、そして本町1丁目10番(現本庁1丁目4番)の今村漆器店が並んでいる。今村漆器店は明治13年(1880)創業。左側は手前から、石川県の九谷焼を取り扱う本町1丁目8番(現本町1丁目7番)の陶磁器商「綿野商店」、向かい側の椎野絹織物商が運営していたドーム屋根の見本室(本町1丁目9番)、陶磁器商の高坂商店(本町1丁目9番)が並んでいる。
高坂商店のさらに奥に見えるビル型の建物は、大正9年(1920)に竣工した日本海上保険横浜支店のビルである。当時としては最先端の鉄筋コンクリート造4階建て。その堅牢な構造ゆえに大正12年(1923)の関東大震災では耐え抜き、昭和20年(1945)の横浜大空襲でもさしたる被害を受けずに終戦を迎え、昭和35年(1960)に富国運輸が建物を取得して以降「富国ビル」と名称を変更して平成期まで残ったが、平成14年(2002)に解体された。関東大震災を乗り越えた建物、さらに、隣接する三井住友銀行横浜支店(昭和6年(1931)竣工)と合わせて近代横浜の雰囲気を残す貴重な建物であっただけに、その解体が悔やまれる。残った三井住友銀行もまもなく解体される。(令和6年現在)
被写体:サムライ商会、椎野商会、綿野商店、日本海上保険横浜支店(富国ビル)
参考文献:関内街並復元絵図、横浜・港・近代建築
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