V1146 神奈川の写真誌
みなとみらい線日本大通り駅の駅舎を写すような構図で撮影された明治後期の古写真。現在の370万人都市横浜市の市政は、この場所に建っていた2階建ての小さな建物でスタートした。正面の建物が明治22年(1889)に横浜市が発足した際、その初代横浜市役所庁舎として利用された建物である。
明治21年(1888)、日本国内に行政区画としての”市”を置く「市制」を定めた法律が公布され、翌年4月1日より施行された。そのとき日本で初めて設置された市の一つとして誕生したのが横浜市である。初代の横浜市役所庁舎として用いられたのは、それ以前から横浜電信局や市の前身である横浜区がその庁舎として利用していた赤レンガ2階建ての建物。正確な竣工年代は資料によって違うので不明だが、少なくとも明治20年(1887)以前から存在したことは確かなようだ。
この初代庁舎は明治44年(1911)まで共用されたが、明治後期には手狭になっていたようで、同年に港町1丁目(現在の関内駅前、先代市役所庁舎の場所)に新庁舎を建設して移転している。その後旧庁舎は「神奈川県度量衡検定所」として利用された後、大正12年(1923)に発生した関東大震災で倒壊するまで存続した。跡地は震災後に神奈川県庁の敷地に取り込まれた。
古写真左方に「明治屋」が見える。
撮影地:横浜市中区日本大通9先より北方向
被写体:横浜市役所(初代) 明治屋
参考文献:横浜開港五十年史下巻、横濱成功名誉鑑
ワンポイント:
現在の横浜市役所庁舎は8代目。