A1114 横濱今昔写真蔵
伊勢佐木町2丁目の中ほどより1丁目方向を望んだアングル。左方には新富亭が写っている。通りが三つ巴紋の提灯で飾られているのは、旧吉田新田の鎮守であるお三の宮日枝神社(現 南区山王町5丁目)の祭事によるものだろうか。人通りもかなり多い。
右側に建っている西洋風の建物は、松ヶ枝町26番地の勧工場(かんこうば)「東洋館」である。勧工場とは、現代でいうところのデパートやショッピングモールの原型と言える商業施設のこと。当時の商店は、店主と客が商談をして品物を見定める座売り方式で、特定の商品を扱うのが常識であったところ、勧工場は商品を棚や机に陳列して販売し、販売品目も衣服から雑貨、荒物まで幅広く扱っていた。伊勢佐木町内では他に、1丁目の横浜館や帝国商品館などがあった。東洋館は明治32年(1899)に開館。ビヤホールも併設されていたようである。明治42年(1909)に活動写真館(映画館)へ改装されている。
左隅にはほとんど見切れているが、松ヶ枝町66番の「左右田銀行」が写っている。
被写体:新富亭、東洋館、左右田銀行
参考文献:地図で楽しむ横浜の近代、中区わが街、横濱社会辞彙、横浜商工名鑑(大7)、横濱成功名誉鑑、横浜中区史
ワンポイント:
撮影/島田翔陽