A1053 横濱今昔写真蔵
現在の伊勢佐木町3丁目内から2丁目方向を望む。こちらの写真から2年後に撮影。又楽館手前の清風亭が日盛楼に建て替わっている。賑座は同年に建て替えられて「朝日座」と改称しているため、この古写真は大正4年(1915)の日盛楼開店と賑座建て替えの間の短い時期に撮影されたものと思われる。
賑町1丁目2番地に建っていた劇場の「賑座」は、明治13年(1880)に小林彦太郎氏が開場した。古写真に写る建物は明治33年(1900)に建てられたもの。他にも周辺に多く存在した劇場の中でも、この賑座は座付き役者を雇っていたことから1日の公演数が多く、さらに会場規模が小さく観覧料が安価だったため、大衆劇場として一般市民に人気を博した。大正時代に入り、当時は「活動写真」と呼ばれていた映画館が流行し始めると、賑座も流行りに乗って劇場から映画館へと業態を変更し、大正4年(1915)をもって「朝日座」と改称した。大正12年(1923)関東大震災を経て昭和戦前期になると、吉本興業に買収されて「横浜花月劇場」に再改称。戦後は東映の運営となって「横浜東映会館」と名を変え、平成18年(2006)に閉館するまで続いた。
明治後期(1900~)、大正2年(1913)、大正5年(1916)頃にも同じ場所で写真が撮影されている。
被写体:又楽館、日盛楼、賑座/朝日座
参考文献:地図で楽しむ横浜の近代、中区わが街、横濱社会辞彙、横浜商工名鑑(大7)、横濱成功名誉鑑、横浜中区史
ワンポイント:
撮影/島田翔陽