A3128 横濱今昔写真蔵
伊勢佐木町1丁目中ほどより吉田橋方向を望む。通りの奥には吉田橋際に建っていた松屋吉田橋店が見える。その左側に今も現存するイセビル、その手前に野澤屋、さらに手前に今もエクセル伊勢佐木として現存する寿百貨店の端が写っている。野澤屋は昭和2年(1927)の修復工事完了後、昭和9年(1934)に行われた2回目の改築を終えた頃か。昭和12年(1937)に3回目の改築が行われた後の姿とほとんど変わらない。
寿百貨店の路地を挟んで右隣りに建っているのは洋品店の「保一堂」。明治42年(1909)創業。店は現存しないが、現地の建物は今も「保一堂ビル」。保一堂右隣の「木村屋」は、現在もあんぱんで著名な銀座木村屋の系列か?寿百貨店向かい側は「不二家」。現在も「ミルキー」やキャラクターの「ペコちゃん」でお馴染みの不二家は、横浜元町2丁目86番で明治43年(1910)に創業。大正11年(1922)に伊勢佐木町に出店。その翌年には東京銀座にも出店した。関東大震災以降は元町本店が閉店したことに伴い銀座店が本店と位置付けられ、伊勢佐木町店が横浜市内の旗艦店とされた。震災後しばらくはバラック建てによる営業であったが、昭和12年(1937)に鉄筋コンクリート造の本建築が完成。昭和20年(1945)の横浜大空襲を乗り越えて、不二家横浜センター店として令和5年(2023)まで使用されていたが、老朽化が理由で一時閉店。しばらくは仮設店舗での営業となり、旧建物は建て替えられる予定である。文章執筆時令和6年(2023)3月11日現在、現存。
被写体:野澤屋(松坂屋)、寿百貨店(エクセル伊勢佐木)、保一堂、不二家(建て替え前)、松屋吉田橋店、有隣堂、イセビル
参考文献:地図で楽しむ横浜の近代、中区わが街、ハマの建物探検、モダン横濱案内、横浜市商工案内、横浜中区史、横浜・港・近代建築、横浜都市発展記念館
ワンポイント:
現在の保一堂ビル